なりたい自分になるならまずは知ったかぶっとけ。
知ったかぶり。
知らないことをあたかも知っているかのように見せかけるこの行為は、あまり良いイメージがないですよね。
むしろ自分の無知を認めて「知らないです」って言える人の方が素直で良い人みたいなイメージが強いと思います。
珈琲先生の『しったかブリリア』では、タイトルからもお分かりのように知ったかぶりから始まる男女の恋愛をコミカルに描きます。
主人公の理助は大学2年生。
ちょっと小柄なイケメンくん。そのままでも人並みにモテるはずなのに、人から頼られたいという気持ちが強いあまりついつい自分の話を大きくしてしまう「超知ったかぶり」な性格です。
その結果、9割嘘の華々しい経歴が爆誕しました。
その後、可愛い後輩に一目惚れした理助は彼女と趣味を合わせるためさらなる「知ったかぶり」を固め、読者も思わずヒヤヒヤしてしまうほどの展開に見舞われます。
その様子がとてもコミカルに描かれていて、時には程よい胸キュン要素もあって、ギャグ系恋愛マンガとしてとても面白い作品です。
ですが、この作品にはもう一つの魅力があるのです。
それは「知ったかぶり」の描かれ方。
冒頭でお話した通り、知ったかぶりって良いイメージがないんですよね。
だから、知ったかぶりをする主人公なんて好きになれないと思っていました。
けれど、理助の知ったかぶりには彼なりの信条がある、だからすごく愛せるキャラクターになっているのです。
例えば、好きな後輩のためにその子が好きな国について知ったかぶりをする理助。
その後、なんと理助は知ったかぶりを現実(リアル)にさせようと海外に行ってしまうんです。
理助にとって「知ったかぶり」は、自分を鼓舞させて一歩踏み出すためのもの。
「知ったかぶり」は決して悪いものではなく、なりたい自分を見つけたり、なりたい自分に近付くための第一歩なのかもしれない、そんなことを理助から学んだ気がします。
大学生の時って、ついつい知ったかしてイキり倒しちゃう経験ありませんでしたか?
詳しくもないのに薄暗いバーとかに行って、意味も分からないのに専門用語を使ってしまう...的な。
もちろん私はありますよ。
大して味とか分からないのに純喫茶みたいなところへ行ってコーヒーについてうんちく語っていた時期が一瞬ありました。
おそらくコーヒーについて語れる、なんか雰囲気のある女の子に憧れていたんでしょうね。
でも、思い返せば、私がコーヒーについて知ったかぶっていた時「あぁ、私はコーヒーに詳しくなりたい、知りたいんだろうな〜」ってやんわり気付いて、それならカフェ店員になった方が早くない?と思いその後、某緑のカフェ店員になりました。
結果的にコーヒーについて語れる女の子になっていたんです。
大人になると「知ったかぶり」することはイケてないって頭で分かっているから、知ったかぶりしそうな気持ちをグッと堪えるようになりました。
でも、「知ったかぶり」してしまう自分と「なりたい自分」って繋がっているのかもしれないから、たまにはそんな自分を出すのもありかなと思いました。